2003年10月09日

「102歳のロビンソンクルーソー」

沖縄県産本、というジャンルがある。

とにかく沖縄のことについてかかれた本、
沖縄で出版された本をまとめてこう呼んでいる。
(と、解釈している。)

本屋に行くとこれが結構ハバをきかせている。
新書簡コーナーにも何冊かあったりして人気もあるみたい。

「てだこ(^o^)亭」のシェフも執筆陣の一人になっている
おばーシリーズ、おじーシリーズの本も面白い。
その他に移住者や沖縄病患者と自称して沖縄旅行をしまくる方々が書いた
食べ物や観光スポットの本も新しい視点を与えてくれる。

先日、TROがひょいと渡してくれた県産本のひとつが、この本だった。
なんだろ?
私はこの本どころかこの本に書かれてる方の事を何一つ知らなかった。


本は、ひとりのおじーが自分のことを優しく語る口調で書かれている。
102歳、沖縄本島北部在住。
数年前に奥さんに先立たれて一人暮らし中。

読んでるうちに、沖縄の田舎のけだるい夏の午後が私の周りに広がってきた。

ちょっと太陽が斜めになった時間、
ガジュマルの木陰に
ほんのちょっとゆるやかに風が吹いてほっとできる時間。

いちにちの時間は毎日同じようにゆっくりと流れる。
昨日も、今日も、明日も同じ。

時のテンポは変わらず、急がず、焦らず、
平和に静かに流れる。
どこからかサンシンの調べが聞こえてくる、そんな風景。

それでも時間を使いこなすために
おじーは腕時計をしている。
多くの人が会いに来るので、名刺も持っている。

青い空、藍色の海、白い雲、白い波。
濃い緑の中に赤瓦の屋根。
古い木造の家は琉球石灰岩の上に建てられた昔ながらのもの。
無意識に耳の底についてまわるように聞こえる蝉の声。

80歳でも、90歳でも、102歳でも変わらない生活。
なんだか、読んでてほっとする本だった。

#本 #読書