すぅ~ っと息を吸って、息をとめて、水の中にトプン、と入る。
顔にかかる水が冷たくて気持ちいい。
身体が浮き上がり、軽く後ろの壁を蹴ると身体が前に進む。
そのまま、ふっと向きを下に変えると さらに深みにもぐりこんでいく。
キャップと、キャップの下にある髪の毛の間を
空気が細かな泡になって立ち上っていくのがわかる。
息が続くなら、このまま水の中で泳いでいたい、と思う。
水の中で尻もちをついたように座って水面を見上げると
ライトに照らされた夜のプールはきらきらと波立って美しい。
涙が出るほど嬉しい事が、あった。
涙が出るほど嫌なことが、あった。
そんな彼是を、水の中でぼんやり思い出すと
なんだかどーでもいいような気がしてくる。
もうちょっと、水に沈んでいようかな。息が続く限り。
...。
おっとっと。浸かりに来たんじゃなくて、
体力つけるために泳ぎにきたんだったっけ。